相続を争族としないために

相続時のトラブルは増加傾向

 人が死亡すると相続の問題が発生します。相続の問題は、資産の多寡にかかわらず発生する問題です。
経済的に厳しい世の中を反映してか、近年相続トラブルは多くなっています。
 令和元年家庭裁判所への遺産分割協議調停申立件数は15,842件でした。平成21年の13,505件に対して、10年間で約2,377件(約17%)の増加となっており、年々増加傾向にあります。
 相続トラブルと言えば、お金持ちだけに起こると考えられがちですが、現実には相続財産が5,000万円以下のケースで頻発しています。遺産分割調停が成立した場合の遺産の額の全体における比率は、1,000万円以下32.1%、5,000万円以下43.4%、1億円以下11.9%、5億円以下6.7%、5億円超0.3%でした。つまり遺産分割調停成立した内の約3分の1は、遺産額が1,000万円以下でした。また、75%が5,000万円以下となっています。
 一方、相続放棄の相続放棄を選ぶ人は年々増加しています。司法統計によると、相続放棄の受理件数は2020年に234,732件と10年前に比べて4割弱増えました。2020(令和2)年の死亡数は137万2755人なので、亡くなった方の相続人の相当数の方が利用していると思われます。
 相続放棄は、引き継ぐ負債が資産を上回る債務超過の場合に選ばれることが多いのですが、最近は利活用できない不動産を引き継ぎたくないために放棄する例が増えているようです。さらに、疎遠になった家族関係の変化も背景にあるように思います。

相続が「争族」となる原因

①相続人の親族が口をはさむ
 遺産相続において、家族・親族で争ってしまうことを揶揄して「争族」と言われています。経済的に厳しい世の中を反映してか、貰えるものはちゃんと貰わなければ損と思う方がほとんどです。さらに、相続人でない相続人の配偶者が遺産分割の話し合いに口をはさみ争族の火種になったりします
②元々仲が良くない
 被相続人の兄弟姉妹や甥・姪が相続人に含まれる場合は、日頃から関係が希薄なため、合意を得にくいケースが多くなります。元々は仲が良くなかった場合は、相続が引きがねとなり争い発展することもあります。

「争族」を回避する方法

 相続は、遺言書がある場合は、遺言書どおりに遺言書に沿って相続しますが、ない場合は、相続人全員の遺産分割協議が必要です。この遺産分割協議がまとまらないことが予測される場合や自分の考えている人に相続をさせたいと考えている場合は遺言書を作っておいた方がいいです。
 相続トラブルを回避するため、遺言書の作成、できれば公正証書での作成をお勧めします。
 

遺言書を作った方が良いケース

①遺産相続で争いにしたくない
 遺言書を作っておくことによって故人の意思が伝わる。財産の分配方法を生前に相続人に伝えていたとしても、  言った言わないの水掛け論となり相続争いとなる可能性がある。
②相続手続きにかかる時間や手間と精神的な負担を軽くしてあげたい
 遺言書で遺言執行者の指定があれば、相続人の負担が軽くなり、安心かつ迅速に相続手続きを進めることができる。
③夫婦の間に子どもがいない
 子どもがいない場合、被相続人の親や兄弟姉妹が相続人に入ってきます。兄弟姉妹の中で、亡くなっている人がいる場合は、甥や姪が相続人となります。遺産分割協議が難しくなる可能性があるので遺言書を作りましょう。全ての遺産を配偶者に相続させることもできます。
④配偶者以外との間に子がいる。(前婚の子または愛人との子)
 離婚をしていても子どもに実の親との相続権がある。そうすると、前妻の子と現在の配偶者との子という普段顔をあわせることもない者同士が遺産分割協議をすることになり、遺産争いになる可能性が高い。
⑤内縁の妻、息子の嫁、孫など法定相続人以外に財産を上げたい
 遺言書がなければ原則的に不可能。上記の方々は原則相続人でないため、遺産分割協議には参加できない。これらの方々に財産を渡すには遺言書が必要。
⑥相続人同士の仲が悪い。または行方不明者がいる
 不動産の名義変更をはじめ遺産分割の手続きには、原則として相続人全員の参加が必要。遺言書の有無により、手続きの方法や財産の分配の可否が変わってくる可能性が高い。
⑦家が自営業(個人事業主)である
 事業用の資産を複数の相続人に分割してしまうと、事業の継続が困難になる。事業を特定の相続人に承継させたい場合には、その旨をきちんと遺言に遺しておくことにより、事業用の資産を分散させてしまうことを防止できる。
 

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