遺産分割における不動産の評価方法

 遺産分割協議や遺産分割調停において不動産価格を評価する方法はいくつかあり、ケースバイケースで使い分けられます。それぞれの評価方法には特徴があり、協議の円滑さや相続人間の合意形成にも影響します。 
 以下に主な評価方法を挙げます。

遺産分割協議とは

 亡くなられた人が遺言書を残していた場合は、原則として相続財産は遺言書の内容に沿って分割することになりますが、遺言を残さずに亡くなった場合は、相続人による話し合いによって遺産の分け方を決めます。
 不動産とか預貯金をどうわけるか協議するわけですが、それぞれの評価額が分かっていないと平等に分けることができません。そのため、不動産などの評価額を調べなければならないわけです。

評価方法は自由に決めれる

 不動産の評価方法は、相続人全員の同意があれば自由に決めることが可能です。不動産の価格はいろんな評価方法がありますが、相続人全員が合意すれば特にこの方法でやらなければならないということはありません。
 ただ分けるにあたって、何か評価基準がないと分けられないて言うこともありますので、当事者の合意以外の評価方法を紹介します。

当事者の合意以外の方法

➀鑑定評価
 鑑定評価というのは不動産鑑定士による評価のことです。遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所に調停を申し立てる方法がありますが、ここでは、不動産の時価(実勢価格)を基準に審理されます。時価について合意ができない場合は、鑑定評価が行われます。鑑定評価は不動産鑑定のプロが行いますので、客観的で適正な不動産の価格が出ます。ただし、不動産鑑定士に依頼すると数十万単位のお金がかかってきます。

➁固定資産税評価額
 毎年4月から5月に市町村役場から固定資産税の納税通知書が届きます。この中に課税明細書という書類があって、課税されている土地・家屋の所在・地番や評価額などが一覧で載ってます。固定資産税評価額は、実際流通している不動産の売買価格とはちょっと低い金額になります。ただ、この評価額は入手が簡単です。

③路線価での評価
 路線価とは、路線(道路)に面している宅地1平方メートルあたりの価格です。相続税の算定などに用いられます。国税庁が毎年7月に公表しています。路線価格が決められてない地域については倍率表というのがあって、評価倍率表の倍率を固定資産税評価額に掛けて価格を出します。
 路線価は、宅地の間口や奥行き、形状により価額の調整が必要になりますが、実際流通している価格に近い評価額が出てきます。

④不動産業者の査定
 不動産業者に査定を依頼すると、実勢価格で出てきますので、路線価や固定資産税評価額よりは高額になってきます。不動産業者に頼めば、無料で簡易査定をしてもらうことができます。ただし、業者によって査定価格に開きがでたりします。

 以上➁~④あたりを使っていただいて、遺産分割協議をする際に不動産や他の財産をどう分けるか検討する際の参考にしていただければいいんじゃないかと思います

相続税の申告の評価方法

 相続税の申告の際の不動産の評価は、土地は路線価格、建物は固定資産税評価額を使って行います。
 路線価の計算は、宅地の形状とかによって、素人ではちょっと難しいところもあるので税理士に依頼した方がいいでしょう。不動産の評価方法によって納税額が異なってきたりしますから、プロに任せるのが安全かと思います。  
 ただ、相続税をそもそも納税しなきゃいけないのか、しなくてもいいのかを知りたい方は、概算の路線価の出し方を紹介します。
 固定資産税評価額は実際流通している価格の大体70%相当と言われています。なので固定資産税評価額を0.7で割ることによって概算の実勢価格っていうのが出てきます。
 さらに、実勢価格の80%ぐらいが概算の路線価と言われていますので、今度はこれに、0.8をかけることによって概算の路線価格が出てきます。

 固定資産税評価額÷0.7=概算実勢価格
 概算実勢価格×0.8=概算路線価格

 こういう方法を使って財全体の財産を出していただいて相続税申告が必要かどうかというところ考えていただいたらいいんじゃないかなというふうに思います

以上相続した不動産の価格の評価方法についてお話をさせていただきました。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ