
不動産を売却し、その売却代金を相続人で分け合うという手段(換価分割)がとられる場合があります。不動産を売却するまでの流れは次のとおりです。
相続税の申告が必要になる場合は、相続税の申告期限10か月以内に合わせて売却する必要があります。
また、譲渡所得税の空き家特例を使う場合は、相続開始日(R7,3.14)から3年経過した年の12月31日までに譲渡することが必要です。
➀相続発生
人が亡くなると相続が発生します。亡くなった方の財産は、法定相続人の共有状態となります。
➁遺産分割
相続人間で遺産分割協議を行い、具体的に誰が何を相続するのか決めます。 不動産を売却し、そのお金を分配する(換価分割)方針の場合は、その旨を遺産分割協議書に記載します。空き家の場合、譲渡所得税の特例が使えないかも検討します。
③不動産の名義変更
遺産分割協議が成立したら相続を原因とする所有権の移転登記を行います。登記申請は司法書士に依頼することができます。なお、換価分割の場合は、便宜的に誰か一人に名義変更をして売却を行う場合が多い。
④不動産会社に査定依頼
不動産会社に査定依頼します。できれば、近隣に取扱い実績のある不動産業者など必ず複数の業者に依頼し比較してください。査定額は不動産会社ごとに異なり、一社のみでは相場を把握することが難しいからです。
⑤不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却を依頼する不動産会社が決まったら媒介契約を結び、販売活動を行ってもらいます。
⑥残置物処分
建物内に残置物がある場合は、その処分も行います。燃えるゴミと燃えないごみの分別。粗大ごみの場合はクリーンセンターに自分で運ばないといけませんエアコン・テレビ・冷蔵庫、冷凍庫・洗濯機はリサイクルすることが義務付けられています。
残置物処分に時間と手間をかけたくない場合は遺品整理業者に依頼するという方法もあります。
⑦確定測量
境界が不明確な場合は、土地境界確定のための測量が必要になります。隣地土地所有者の協力が必要です。この測量は土地家屋調査しに依頼します。
境界測量については、「相続した土地の売却に必要な側量」を参照
⑧売買契約締結
買主が見つかったら、手付金を受領し、買主と売買契約を結びます。契約締結後約1か月程度開けてから残金の決済を行います。買い手が見つからない場合は、不動産業者に買い取ってもらうこともできますが、この場合は個人に買ってもらうよりも相当安くなります。
⑨建物を解体する
更地にして引き渡すのが条件なら、解体業者に依頼して解体する。解体費用は、業者ごとに差があります。必ず複数の業者から見積もりを取ってください。解体後は建物滅失登記が必要です。
⑩決済後物件を引き渡す
買主が売主に残代金を支払うと同時に、土地、建物を引き渡します。
⑫売却代金の分配
換価分割の場合は、売却代金の中から売却にかかった諸費用を控除した金額を遺産分割協議書の内容にしたがって各相続人に分配します。
⑪確定申告(翌年)
翌年の確定申告の時期(2月15日~3月15日)に譲渡所得税の申告を行います。譲渡所得税の申告は、売却代金を受け取ったすべての相続人が行わなければなりません。面倒な場合は税理士にいらいすることもできます。
空き家特例の要件は、「空き家特例とは」を参照。
以上が相続した不動産を売却する大まかな流れです。実際にはやるべきことはもっとたくさんあります。順を追って一つずつ進めていくことが必要です。