
生前贈与は相続税の節税対策として最もポピュラーな方法ですが、相続税の税務調査において、名義預金が発覚することが多くあります。
生前贈与を行う際に気を付けたいポイントを投稿します。
(1)贈与は契約
名義預金とは父母や祖父母などが子や孫などの名義で口座を作り、お金を入金している口座です。相続税の節税のために、子や孫に生前贈与することにしたけど、子供に大きなお金を渡して金銭感覚が狂ったりすることが心配なので子や孫名義の通帳を作るけど子や孫には渡さず自分で管理しているものです。
こうした名義預金が税務調査で、贈与と認められず、贈与した財産にかかる相続税と延滞税、過少申告加算税を払うことになります。これは名義預金でよくある事例です
ではなぜ贈与と認められないのでしょうか。それは贈与はあげる人である贈与者ともらう人である受贈者がお互いあげる、もらうという意思があって初めて成立する契約だからです。父母や祖父母が子や孫の口座を作り、本人がいついくらもらったのか分からない状態では贈与は成立していないということになります。口座の名義は子や孫だとしても実質的な財産の所有者は父母や祖父母だということです。
(2)贈与の時効が成立しない
このように贈与が成立していないため、贈与税の時効も成立しません。
例えば、贈与をしている期間が、父親が65歳から亡くなるまでの85歳までの20年とします。贈与の時効は6年、悪質の場合でも7年なので、時効が成立
していれば13年分は課税されませんが、贈与がそもそもが成立していないため、時効も成立せず、20年分の贈与財産が相続財産に組み入れられ課税されることになります。
贈与されたのが不動産の場合は、所有権移転登記を行うと登記簿に贈与した事実が記載されることになりますので、贈与が成立し時効のカウントも進んでいくということになります。税務署は不動産の登記情報を定期的に取得していますので不審な動きがあれば目をつけられてしまいます。
堂々と適法な贈与をして、正しく節税しましょう。
次に正しい贈与の正しいやり方 についてお伝えします。
(3)正しい贈与のやり方
➀贈与契約書を作る
まず、贈与した証拠を作っておくために、贈与契約書を作るということです。ただし、その増契約書がいつ作ら
れたのかということも税務調査官は見ています。やろうと思えば過去の日付の贈与契約書を後から作るということ
もできてしまいます。贈与契約書を後から作ったと勘ぐられないようにこの日付で贈与を行ったという証拠を作る
ことができます。それが確定日付という制度です。確定日付は公証役場でお金を払ってその日付の証拠をもらうこ
とができます。この確定日付があれば後から作ったものではないという証拠になります。この確定日付は1件につ
き700円で行うことができます。
➁贈与税の申告をする
あえて110万円を超える贈与を行い、贈与税の申告書を提出するのも1つの証拠作りとなります。ただ気をつけた
いのは名義預金を作って父母や祖父母などの贈与者が子や孫などの申告書を作って提出するというケースがありま
すが、これもバレる可能性が高くバレた場合には税務調査を誘発しますので、父母や祖父母などの贈与者ではなく
子や孫などの受贈者が提出するようにしてください。
③現金の贈与は振込でする
贈与を現金でする場合は、銀行振込みで行うということです。現金で持っているものを現金で渡すというのは証
拠が残りません。誰が見ても納得ができる証拠を作ることが重要ですので、振り込みで行い証拠を作っておきま
す。
④預金は受贈者が管理する
受贈者の口座は贈与者が管理するのではなく、受贈者が管理しているという状態が必要です。通帳や印鑑は受贈
者が管理し、入出金なども受贈者が行い管理している状態にしてください。そうしないと名義預金と勘違いされて
しまいます。ちなみに未成年者の場合は親権者が口座の管理をしても大丈夫ですが、成人したら本人が管理する必
要があります
以上のポイントを抑えて税務調査に入らたとしても贈与の事実が あったことを認めてもらえる証拠作りをしていきましょう。