遺言書の無い場合は遺産分割協議が必要
亡くなられた人が遺言書を残していた場合、原則として相続財産は遺言書の内容に沿って分割することになるため、遺産分割協議は必要ありませんが、亡くなられた人が遺言を残さずに亡くなった場合は、相続人による話し合いによって遺産の分け方を決めることが必要です。遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。
亡くなった人の遺産は、相続開始時は相続人全員の共有となります(民法898条)。この共有状態を解消するために、遺産分割協議を行い、遺産の分割方法、相続分を具体的に話し合いを行います。どのように分割をするかは自由です。民法の法定相続による割合で分割しても、法定相続分と異なっても構いません。
この協議の方法に特別な方法があるわけではありませんが、次の点は気をつけなければなりません。
①相続人全員が参加して協議を行うこと
分割協議は、必ず相続人全員で行わなければなりません。相続人に認知症の方がいる場合は、成年後見人を選任し、その参加も必要です。相続人が1人でも欠けた状態で行うと、その協議は無効となります。
②協議の結果を書類に残すこと
また、あとで問題が起こらないよう、「誰が」「何を」相続するのか協議結果を書類に残すことが必要です。この書類のことを「遺産分割協議書」といいます。
遺産分割協議書は、預貯金の解約、名義変更手続き、不動産の所有権移転登記に必ず添付することが必要です。
遺産分割協議書が不要なケース
遺産分割協議が不要なケースもあります。以下の場合です。
①相続人が1名のみの場合
相続人が1人しかいない場合は、その人が全ての遺産を相続することになるため、遺産分割協議書は必要ありません。
②遺産が現金・預金だけの場合
預金の解約は遺産分割協議書がなくてもできます。その場合、相続人全員の署名・捺印、印鑑証明書が必要で
す。多数の金融機関に預金口座を開設している場合、遺産分割協議書があったほうがスムーズなので作成しておい
てもよいでしょう。
③遺言書の内容に沿って遺産分割する場合
④法定相続割合で分割する場合
民法で定める法定相続割合で分割する場合は、不動産が複数の相続人で共有することになり不都合が生じること
があります。
遺産分割協議書を作成する必要があるかどうか、作成については行政書士等の専門家にご相談ください。