相続放棄が過去最多26万件


 全国の家庭裁判所が受理した相続放棄の件数が2022年は過去最多の26万497件となったことが司法統計で明らかになりました。10年前の2012年は16万9,300件であったため、約5割増加したことになります。
 相続放棄とは、債務を含めた相続財産の全ての承継を放棄することを言います。多くは、引き継ぐ負債が資産を上回る債務超過の場合に選ばれることが多いのですが、最近は利活用できない「負動産」(地方にある山林や不動産)を引き継ぎたくないために放棄する例が増えているようです。
 ところで、相続放棄すると、マイナスの財産だけでなくプラスの財産も放棄することになります。マイナスの財産だけ放棄することはできません。相続放棄をすると、放棄した人は、その相続に関しては初めから相続人とからなかったものとみなされます。そのため、相続放棄すると、相続人や相続分に変更が生ずることになるので注意が必要です。
 相続放棄をするには、自己のために相続開始のあったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述することが必要です。一度相続放棄が承認されてしてしまうと撤回することはできません。預貯金の払い戻しを行ったり、経済的価値のある遺品を持ち帰ったりすると、相続を承認したととみなされて相続放棄をすることができなくなるので注意が必要です。

 行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ