相続に関する民法改正の変遷

 日本の相続制度は、戦後に家制度を廃止し、個人の尊厳と両性の本質的平等を実現するため、様々な改正がなされてきました。

(1)戦前
   戦前の旧民法では相続制度は、戸主を承継する「家督相続」と、その他の家族の固有財産を承継する「遺産相
  続」との2つがありました。「家督相続」は、戸籍上の戸主が死亡した場合あるいは隠居した場合は、原則とし
  て長男が遺産のすべてを相続するという制度でした。一方、戸主以外の者が亡くなった場合に、その者が持って
  いた財産を相続することを「遺産相続」といいました。「遺産相続」における相続順位は、直系卑属、配偶者、
  直系尊属、戸主の順でした。

(2)戦後
  ①昭和23年1月1日 新民法施行
   家制度が廃止されたため、相続についても、家督相続の制度が廃止され、遺産相続に一本化されました。ま
  た、配偶者は常に相続人となる権利が確立されました。家督相続の特権でもあった祭祀財産(祭具やお墓)の承継
  は、相続から除外されました。
  ②昭和56(1980)年1月1日施行
   配偶者の法定相続分を引上げ、子とともに相続する場合は3分の1、直系尊属とともに相続する場合は2分の
  1、兄弟姉妹とともに相続する場合は3分の2とされていたが、それぞれ2分の1、3分の2、4分の3に引き
  上げられました。
  ③平成25(2013)年12月11日施行
   父親に認知された非嫡出子の法定相続分を嫡出子の法定相続分と同等となりました。
  ④令和3年(2020)年4月1日施行
   超高齢化社会に対応して、被相続人の死亡により残された配偶者の生活への配慮等の観点から、「配偶者居住
  権」が創設されました。

 行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ