相続手続きのデジタル化はどこまで進むか

 

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化問題で何かと大変なデジタル庁ですが、始めてホームページを見ました。政府が策定した「デジタル社会実現に向けた重点計画」(令和5年6月9日)を見ると、基本理念には「誰一人とりのこさない、優しいデジタル社会」をめざすとしています。(ホント?)
 重点項目の中には、相続手続き関係もありました、「死亡・相続手続のオンライン・デジタル化」というのがあって、
①死亡に関する手続(死 亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出)のオンライン化に向けて課題整理を行う。
②法務省の戸籍情報連携システムを活用した法定相続人の特定に関する支援等を検討する、としています。

 現在全ての市町村で戸籍事務がコンピュータ化されていますが、各市町村のシステムがネットワークされていないため、市町村間において戸籍情報が共有することができません。そのため、令和元年5月24日、戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)が成立し、マイナンバー法に基づく情報連携の対象に戸籍に関する情報が追加され、令和6年3月以降、マイナンバーによる情報連携が可能になる予定です。 法務省では現在、新たなシステム(戸籍情報連携システム)を構築し、データの提供を可能となるよう、整備を進めています。
新システムにより、次のようなことができるようになります。

①各種の社会保障手続で、マイナンバーを利用して 戸籍謄抄本の提出を省略化
  マイナンバーを利用することにより、新たなシステムに照会し、親子関係や婚姻関係等を確認することが可能となるため、従来提出が必要だった戸籍謄抄本の添付が省略できます。
②戸籍の届出における戸籍謄抄本の提出不要化
  婚姻届や養子縁組届など様々な戸籍の届出の際に、新システムにより戸籍情報が共有化されるため。戸籍謄抄本の提出が不要となります。
③本籍地以外の市区町村で戸籍謄本の取得が可能
  本籍が遠方にある方でも、最寄りの市区町村の役場の窓口において、戸籍謄本を取得することができるようになります。自分の戸籍のほか、配偶者、父母、祖父母、子の戸籍の謄本も取得が可能ですが。ただし、電子化されていない戸籍は取得できません。
 さらに、オンライン上で行政手続をする際に利用可能な戸籍の証明書として、「戸籍電子証明書」の発行が可能となります。

 デジタル庁がめざす戸籍情報連携システムを活用した法定相続人の特定については、原戸籍や除籍が画像データで保存されているため、これらのデータから親族関係を機械的に把握することは困難で限界があるようです。
デジタル庁が掲げる「死亡・相続ワンストップサービス」をどのように実現していくかは関係格省においても検討中です。法務省では自筆証書遺言のデジタル化も検討中です。

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