預貯金の調査方法

相続手続きをする時、まず初めにしなければならないことは相続人と相続財産の調査です。相続する権利がある人全員と相続財産全部が分からなければ遺産分割協議を進めることはできません。今回は、被相続人の預貯金の調査について説明します。

1 被相続人の預貯金の探し方

 被相続人の預貯金は、まず被相続人の自宅で通帳やキャシュカードを探します。引き出しやタンス、書棚などをくまなく調べます。
 金融機関からの郵便物なども確認しましす。
 何も手がかりがない場合は、口座のありそうな金融機関を全て尋ね、確認します。その際には下記の資料が必要です。
 口座が確認できた金融機関には、相続開始日時点の「残高証明書」を発行してもらいます。通帳でも残高の確認はできますができるだけ正確に相続財産に計上するためです。
 全店照会をしてもらえばその銀行の他支店での預金口座が見つかることもあります。

2 残高証明書の必要性

 残高証明書の発行を請求ができるのは、相続人、遺言執行者または受遺者です。請求には以下の書類が必要です。
 ・預金者が亡くなったことが確認できる戸籍(除籍) 謄本(※)
 ・発行依頼者が相続人であることを確認できる戸籍(除籍)謄本
 ・遺言書(遺言執行者・受遺者の場合)
 ・発行依頼者の印鑑証明書と実印

3 使途不明金がないか確認する

 被相続人の通帳があればその入出金をチェックします。通帳がなければ預金取引明細書を発行してもらいます。大きな金額の出金があれば、その使い道を確認します。
 取引履歴を過去3年から5年分遡って取得し、誰かに贈与や、お金を貸したりしていないかを確認でき、財産を確定する参考になります。

4 照会をすれば口座は凍結される!

 残高照会を行うことにより口座の名義人が亡くなったことを金融機関に知らせることになりますので、口座は凍結されます。口座が凍結されれば、入出金のすいべてができなくなるため、公共料金等の口座の引き落し変更手続きが必要になります。通帳の記帳もできなくなるため、凍結前に記帳を行いましょう。

※預貯金の仮払い制度
  相続開始後、被相続人の預金は凍結され、遺産分割が終了するまで払い戻しはできなくなります。ただし、当 面の生活費や葬儀費用などで 必要な場合は一定の金額まで払い戻しが可能です。金融機関に被相続人の戸籍(除籍) 謄本、相続人全員の戸籍謄本、払い戻し希望者の印鑑証明書などを添えて請求します。
 (払い戻しできる金額)
   相続開始時の預金残高×1/3×払い戻しをする相続人の法定相続分
   1つの金融機関付き150万円が上限。これを超える金額には家庭裁判所への申立てが必要。