親が養子縁組すると子の氏は

 相談会に出ているといろいろと勉強させられることがあります。先日相談会で改姓についての相談がありました。
結婚した娘夫婦と同居しているが、娘夫婦に実家の姓を継がせたいがどうすれば良いかとのご相談。
婚姻中の夫婦が妻の旧姓に苗字を変更するには、次のような方法があります。
①一旦離婚し、すぐ再婚し、妻の姓で新戸籍をつくる。
②祖母と養子縁組する。
③氏の変更許可申立をする。

 ①と②は確実に姓を変えることができますが、①は離婚し、再婚したことが戸籍に記載されます。②の場合は、娘の夫と親子関係が生じ、相続関係が変わります。③の許可申立てには「やむを得ない事由」が必要です。

 戸籍の筆頭者(=婚姻により氏を改めていない者)が養子となる場合には、養親の戸籍には入らず、養親の氏の新戸籍が編成され、その戸籍に入籍します。養子に配偶者がいる場合は、配偶者も筆頭者である夫に伴ってこの戸籍に入籍します(随従入籍)。夫婦はともに旧戸籍から除籍されるわけです。
しかし、養子に子がいた場合には、子は随従入籍はしません。子はそのまま旧戸籍に残されます。この養子の子を新戸籍に入れるためには、市役所で入籍届を提出する必要があります。
旧戸籍法では、養子が夫婦であっても、養親の戸籍に入りました。現在の戸籍は、「一組の夫婦と氏を同じくする子ごと」に編成するという原則があるため、養親の戸籍には入りません。(戸籍法第20条)

 子連れの離婚女性が再婚又は養子になる場合も同じです。女性は旧戸籍から除籍され再婚相手の戸籍に入籍しますが、子はそのまま旧戸籍に残されます。
この子の氏を変更するには家庭裁判所の許可を貰うか、母の再婚相手と養子縁組する必要があります。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ