不用な山林を手放す方法

 田舎の山林を相続したが、活用もできず、放置したままで、固定資産税だけはらっているという方もいるでしょう。今回は、山林の相続手続きと不用な山林を処分する方法はある?のかなどについて投稿します。

1 山林の相続手続き

(1)相続登記 
 山林は、登記の地目が「山林」となっている土地で、「耕作によらないで竹木が生育している土地」です。
 山林を相続した場合は、土地や家屋を相続した場合と同様に、その不動産の所在地を管轄する法務局で名義人を 変更する手続き(所有権移転登記)が必要です。
 これまで、不動産の登記は任意でしたが、不動産登記法が改正され、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。相続や遺言により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなります。令和6年4月1日より前に相続した不動産についても施行日から3年以内に登記申請をする必要がありますので、未登記の不動産がある場合は今から準備が必要です。
(2)市町村への届出
 森林法改正により、平成24年4月以降、森林(山林)の土地を相続した場合には、市町村長への届出が義務化されています。届出の対象は、都道府県の地域森林計画の対象となっている森林です。地域森林計画の対象となっているかどうかは市町村の林業担当課にお問合せください。
 届出の期限は相続発生後90日以内となっています。届出をしないと10万円以下の過料が課されることがあります。届出書には、届出者と前所有者の住所氏名、所有者となった年月日、所有権移転の原因、土地の所在場所・面積とともに、土地の用途等を記載します。添付書類として、登記事項証明書または土地売買契約書など権利を取得したことが分かる書類の写し、土地の位置を示す図面が必要です。

2 山林の売却は可能か

 相続した山林の活用が難しく、固定資産税を払い続けるしかないなら売却してしまいたいと考える方も多いかと思います。子供達へ負動産を残したくないとお考えの方もいるでしょう。
 市街地郊外にある山林などは、交通の便もよく、活用が見込まれますが、林道も整備されていない山奥の山林については、活用は困難です。また、田舎の山林は境界線のはっきりしていないことが多く、売却を難しくしています。
 売却するには隣接する山林の所有者の立ち合いで境界線を確定する必要がありますが、所有者が不明であったり遠方に居住していたりで境界画定に多大な手間やコストがかかります。

3 いらない山林を手放す方法

 山林を相続してしまったあと、山林を手放す方法には以下の方法があります。いずれも簡単な方法ではないですがご検討ください。
①買主を探す。
 隣接の所有者や近隣の方で買ってもらえる人がいないか探す。森林組合が山林の売買の仲介をしていますが、境界の不明確な山林は取引の対象とはなりません。
②贈与する。
 売却先をみつけることは困難な場合には、無償で譲渡することも選択肢です。無償でも引き取ってくれる方を探すのも難しいかもしれません。
③買取業者に買い取ってもらう。
 山林の買取を専門にしている業者があります。ネットで検索すればいくつか出てきます。ただし、現地調査や境界確定のために費用がかかります。
④相続土地国庫帰属制度を利用する。
 令和5年4月27日から相続土地国庫帰属制度が施行されてます。相続した不要な土地を国が買い取る制度ですが、境界の不明確な土地は対象とならない、10年分の管理費相当額を負担金として支払はなければならないなどの条件があります。

 行政書士・社会福祉士竹内倫自事務所のホームページ