遺言書の探し方

 故人が生前に遺言書の存在を家族等に伝えていたら、遺言書の存在は明らかですが、故人が遺言書の存在を誰にも伝えていない場合は、その存在に気づかないまま遺産分割がされてしまうこともあります。
 遺言書がある可能性がある場合には、以下の流れで調査をするといいと思います。

1 自宅を探す
まずは自宅内の金庫や重要な書類を保管している場所を探します。遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所の検認手続きが必要となります。遺言書が封筒に入っている場合は、勝手に開封をしないでください。開封をした場合、過料の制裁を受ける可能性があります。
 遺言書を貸金庫に保管しているケースもありますが、 利用者が亡くなったことを銀行が知ると、預金口座とともに貸金庫も凍結されます。銀行での相続手続きをしなければならないため、遺言書の存否に時間がかります。

2 公証役場で調査する
 遺言書が公正証書で作成されていても、死亡後公証役場から相続人へ通知されることはありません。公証役場で調査する必要があります。
 公証平成元年以降に公証役場で作成された遺言書については、遺言検索システムによって確認することが可能です。全国どこの公証役場でも検索することができます。
 遺言検索の申出は、相続人等の利害関係人のみがすることができます。申出の際の必要書類は、①遺言者が死亡した事実を証明する書類(除籍謄本等)、②遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本、③申出人の本人確認の書類(マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付き公的身分証明書または実印および印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの)が必要です。

3.法務局で調査する。
 令和2年7月から、法務局で自筆証書遺言書を保管してくれる制度が始まっています。故人が、この制度を利用して法務局に自筆証書遺言を保管している場合には、法務局で調査をすることが可能です。
 法務局に保管されているかどうか調べたいときは、「遺言書保管事実証明書の交付請求」を行います。保管されていれば、保管されている旨の証明書が交付されます。
 請求する際には、交付請求書の他、①相続人であることを確認できる戸籍謄本等、②書類(除籍謄本等)、②顔写真付き公的身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証等)が必要です。
 この遺言書保管制度では、遺言者の指定があれば、法務局が遺言者の死亡の事実を確認したとき、指定した者に遺言書を保管している旨を通知することになっています。

 以上の方法で探しても、遺言書が見つからないのであれば、遺言書が無いものとして相続手続きを進めていくしかありません。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ