1 相続税を払う人は10人に1人もいない
相続税は、相続等により財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税です。相続財産の価額が高くなるほど税率が上がる累進課税(最高55%)を適用することで、資産の再分配を図るという目的をもっています。
国税庁の発表によると、令和3年の被相続人数(死亡者数)1,439,856人で、うち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は134,275人で、相続税が課税されている人の割合は9.3%でした。
福井県では、被相続人数(死亡者数)9,721人、申告書の提出に係る被相続人数765人で課税割合は7.9%で、相続税を払う人は1割にもみたない現状です。
国税庁令和4年12月報道発表資料 令和3年分相続税の申告事績の概要https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/sozoku_shinkoku/index.htm
2 相続税がゼロかどうかは基礎控除額でわかる
相続税には基礎控除があり、相続財産の評価額が基礎控除の金額以下であれば相続税は課税されません。税務署に対する申告も必要ありません。
また、基礎控除額以上の相続財産があっても、相続人のうち遺産をもらわなかった人がいれば、その人にも相続税は課税されません。
基礎控除額は次の算式によって求められます。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
例えば、夫が亡くなり、相続人がその妻と子ども2人の場合は、基礎控除額は3,000万円+600万円×3人で4,800万円が基礎控除額となります。
プラスの相続財産から借金等のマイナスの相続財産を差し引いた額が課税対象となりますので、その額が基礎控除額以下であれば相続税はゼロとなります。
3 配偶者は1億6千万まで非課税
また、課税資産額が基礎控除を超える場合でも、配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例の措置があり、これを受けることにより、相続税がかからないケースもあります。
被相続人の配偶者が相続により取得する財産が1億 6,000 万円以下であるか、又は課税価格の合計額に法定相続分(子と相続する場合は2分の1)を掛けた金額以下である場合は、配偶者に相続税はかかりません。
例えば、例えば、夫が亡くなり、相続人がその妻と子ども2人の場合で、1億円の遺産がある場合、法定相続分で分けると、子ども2人にも相続税がかかりますが、1億全てを妻が相続する場合は、相続税は全員ゼロとなります。
4 居住用宅地の評価額は8割引き
居住用宅地については、相続する人が配偶者または同居していた親族であれば、宅地の相続税評価額を330㎡(100坪)まで80%減額することができる制度です。これを「小規模宅地の特例」といいますが、この特例を利用すれば大きな減税となります。
例えば、面積330㎡、路線価5万円の場合、特例の有無によって評価額は以下のようになります。
特例なし:330㎡×5万円=1,650万円
特例あり:330㎡×5万円×(1-0.8)=330万円
※これらの特例の適用をうけるためには、非課税であっても相続税の申告書を申告期限までに提出する必要があり
ます。
相続税がかかるか否かのボーダーラインは、最低3,600万円で、11人に1人くらいしか税金がかからないという話でした。詳しくは、税理士等の専門家に相談ください。