終活としての介護の備え

(1)「終活」とは

「終活」とは、「人生の終わりに向けた準備活動」のことを言います。 
「終活」という言葉は、2009年に週刊朝日が「現代終活事情」という記事お連載された頃から流行したとされています。
 流行した背景には、 1990年代以降家族の縮小、単身化、関係の希薄化が背景にあります。それまでは、死んだ後のことは遺族が考えればよいこと でしたが、頼れる家族がいない、少ない世帯が増えたために、自分の死後について、人に迷惑をかけたくないと考える人が増え、「終活」が注目されるようになったというわけです。
 2010年にはNHKのドキュメンタリー番組の中で用いられた「無縁社会」,この年の流行語大賞に選ばれています。家族や地域とのつながりが希薄にな孤独や孤立が社会問題となっていました。
 あるアンケートによると、「なぜ終活をしようと思ったのか」の設問に、およそ9割が「家族に迷惑をかけたくない」と回答したとの結果が出ています。

(2)介護への備え

 終活の一環として、将来介護が必要になった時に備えておくことも必要です。
 厚生労働省の調査によると、要介護状態になった主な原因は、「認知症」が18.1%と最も多く、次いで、「脳血管疾患(脳卒中)」15.0%、「高齢による衰弱」13.3%、「骨折・転倒」13.0%となっています。男女別に見ると、男性は「脳血管疾患(脳卒中)」が24.5%、女性は「認知症」が19.9%と特に多くなっています。
 認知症、高齢による衰弱は、比較的緩やかに症状が進行するため、時間をかけて介護に向き合っていけるかもしれませんが、脳血管疾患、骨折・転倒では、元気だった高齢者がいきなり要介護状態になることがあります。
 いざ介護が必要になった時に、少しでも焦りや不安を感じないためには、日頃から介護に備えておくことが大切です。家族と以下のポイント等について話し合いを持つこと。自分の介護に関する希望や、介護が必要になった時の対応方法について、家族と十分に話し合っておくとが必要です。。
・どこで生活したいのか。(在宅か、施設か)
・誰に介護してもらいたいか(家族、介護サービス)
・介護費用はどうするか、など

<厚生労働省「国民生活基礎調査」/2022年>

(3)国は地域包括システム、在宅福祉を進めている

 国は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、できる限り自立した生活を続けることができるよう、医療、介護、福祉、予防、住まいなどのサービスを一体的に提供することを目指しています。
 最近では、病院だけでなく、自宅や介護施設での看取りも増えており、訪問診療、訪問看護、訪問介護(ヘルパー)、デイサービス、などのサービスを利用しながら最後まで在宅で生活していくことも可能になっています。
 施設にも、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの介護保険施設や
有料老人ホーム(介護型・住宅型)、サービス付き高齢者住宅(サ高住)などのさまざまな施設があります。
 最近は、住宅型有料老人ホームが増え、特別養護老人ホームのベッド数より増えています。特別養護老人ホームに入れない人が住宅型有料老人ホーム※へ流れている傾向があります。ただし、有料老人ホームは民間の施設であるため、介護保険施設よりも利用料は高くなります。
 
※住宅型有料老人ホーム
 住宅型有料老人ホームとは、主に自立している高齢者や、比較的軽度の介護を必要とする高齢者を対
 象に提供される施設です。このタイプの施設は、住まいとしての機能を重視しており、基本的には食事
 や居住のサービスが提供されますが、介護サービスは含まれていません。介護が必要な場合は、外部の
 訪問介護サービスを別途契約して利用する形となります。

 介護サービスや施設について疑問があれば、インターネットで情報を収集することができます。また、地域の医療、介護、福祉サービスについては、最寄りの地域包括支援センターに相談してみてください。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ