介護が必要になった時の住まい

(1)介護が必要になった場合の住まいの選択

   平均寿命が伸び、老後が長期化したことにより、誰もが要介護になる可能性があります。自分が介護する側に
  回るかもしれませんに回るかもしれません。多くの人は死ぬまで自宅に住み続けたいと考えています。
  厚生労働省の「国民生活基礎調査」(平成25年)によると、「日常生活を送る上で介護が必要になった場合に、ど
  こで介護を受けたいか」との問いに対し、 男女とも「自宅で介護してほしい」人が最も多く(男性42.2%、女性
  30.2%)、自宅以外では、「介護老人福祉施設に入所したい」(男18.3%、女性19.1%)、「病院などの医療機関に
  入院したい」(男性16.7%、女性 23.1%)、「介護老人保健施設を利用したい」(男性11.3%、女性11.2%)などと
  なっています。
    在宅介護が適切か施設介護が適切かは、本人の希望や健康状態や家族の事情により異なります。
   自宅での生活を続けたい場合は、訪問介護やデイサービスなど在宅介護サービスを利用します。
   しかし、重度化し、常に見守りが必要になったり、医療的なケアが必要になった場合は、施設入所を検討しなけ
  ればならなくなることがあります。
  在宅介護と施設介護、それぞれメリットとデメリットは以下のとおりです。
  在宅介護
  <メリット>
  ・自宅での安心感
    慣れ親しんだ環境で生活を続けられるため、心理的な負担が軽減され、精神的な安定が得られやすいです。
  ・自由な生活
    施設と異なり、生活時間や趣味の時間も自分のペースで決められるため、個別の生活スタイルを保ちやすいで
   す。
  ・家族とのつながりが保てる
    家族が近くにいる場合は、日常的な関わりやサポートが得られるため、家族と過ごす時間が多くなります。
  <デメリット>
  ・家族の負担が大きくなる可能性
    在宅での介護には、訪問介護やデイサービスなどの外部サービスの利用が必要ですが、外部サービス時間外は
   家族のサポートも必要で、家族に負担がかかる場合が多いです。
  ・安全面のリスク
    介護サービスの対応時間外や緊急時に十分なサポートが得られない場合、事故や病状悪化のリスクが懸念され
   ます。
  ・医療サービスの限界
    病状の重い方や専門的な医療ケアが必要な方の場合、自宅での対応に限界があることがあります。
  施設介護
  <メリット>
  ・専門的なケアを受けられる
    介護施設では、24時間体制で専門スタッフによるケアが受けられるため、身体的・医療的なサポートが充実し
   ています。
  ・緊急時の対応が可能
    スタッフが常駐しているため、緊急時にも迅速に対応が可能で、安全性が高まります。
  ・生活支援が充実している
    食事や入浴、排泄などの日常生活のサポートが提供され、個人での負担が軽減されます。また、レクリエーシ
   ョンや交流の機会がある施設も多く、社会的なつながりが得られることもあります。
  <デメリット>
  ・生活の自由度が制限される
    施設内のルールや他の入居者との関係で、日常の自由度が制限されることがあり、生活リズムが施設のスケジ
   ュールに左右されます。
  ・費用が高額になる場合がある
    介護サービスにかかる費用は介護保険により1割から3割負担ですが、居住費(部屋代、光熱費)や食費、い
   わゆるホテルコストは原則自己負担とな
   るため、在宅介護よりコスト高になります。
  ・自宅から離れる不安
    住み慣れた自宅を離れることに心理的な不安を感じたり、家族との物理的な距離が生じるため、家族との関わ
   りが薄くなりがちです。

(2)施設の種類 

   脳梗塞や心不全などで救急搬送され、命は助かったけど、嚥下障害や片麻痺があって、急性期の病院からリハ
  ビリ病院に転院になった。入院をきっかけに、寝たきりになったり、認知症の症状も出てきたというケースは多
  いでしょう。リハビリ病院は生活の場ではないので、自宅に戻るか次の行先(病院や施設)を探してくださいと
  言われます。ここで自宅を選択できない場合は、介護施設や療養型病院などへ移ることになります。
   施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設などの介護保険施設や有料老人ホーム(介護型・住宅型)、
  サービス付き高齢者住宅(サ高住)などのさまざまな施設があります。近年では、住宅型有料老人ホームが増え
  ています。

※利用料は目安です。施設の設備やサービスの内容によって異なります。

(3)施設選びのポイント

   介護が必要になった際の施設選びの基準には、いくつかの重要なポイントがあります。
    ➀介護度や医療ケアの必要性
      施設ごとに受け入れ可能な介護度(要支援、要介護1~5など)が異なります。要介護度が高く、専門的
     医療ケアが必要であれば、医療スタッフが常駐している施設が適しています。
    ➁食事
      高齢者にとって、生活の中で一番楽しみなのが食事ではないでしょうか?毎日の食事の満足度は日常生活
    を有意義に過ごすことができるかどうか、大きく左右します。食事を施設内の厨房で作らず、外部の業者に
    委託しているところも増えています。この場合、利用者の好みや状態に合わせた細かな対応が難しくなる場
    合もあります。外部委託でなく施設で食事を作っているほうが良いでしょう。
    ➁介護サービスの質
      施設のスタッフがどのような介護を提供しているか、またその質を確認することが大切です。スタッフの
    対応や介護方法、ケアプランの適切性などが基準となります。
    ③設備と環境
      施設の清潔さ、バリアフリー対応、緊急時の対応体制など、設備や生活環境も選ぶ基準となります。ま
    た、周囲の環境(交通の便や自然環境など)も考慮すべき要素です。
    ④費用
      介護施設の費用は施設により大きな差があります。介護保険の適用範囲や自己負担額を確認し、収入に見
    合った施設を選ぶ必要があります。
 
    高齢者を対象とした施設や住宅はさまざまな種類があり、名称も似ていて、違いがわかりにくいかもしれませ
  ん。それぞれの特徴を知って、自分に合った施設の見当をつけてみましょう。
    元気なうちに、介護サービスや施設に関する情報を収集する。実際に施設を見学をしてみて、施設の設備や雰
  囲気を確認しましょう。見学を通じて、説明に対してスタッフが丁寧に対応してくれるか、施設のケア方針が家
  族の希望に合うかを確認できます。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ