終活を始める時期

終活について

「終活」とは、「人生の終わりに向けた準備活動」のことを言います。 
「終活」という言葉は、2009年に週刊朝日が「現代終活事情」という記事が連載された頃から流行したとされています。
 流行した背景には、 1990年代以降家族の縮小、単身化、関係の希薄化が背景にあります。
 1980年の世帯構成を見ると、夫婦と子の世帯が42.1%、三世代世帯が20%でしたが、2020年(令和3年)では、単身世帯38%、夫婦と子の世帯が25%、三世代世帯は7.7%です。
 それまでは、死んだ後のことは家族が考えればよいことでしたが、頼れる家族がいない、少ない世帯が増えたために、自分の死後について、人に迷惑をかけたくないと考える人が増え、「終活」が注目されるようになったというわけです。
 あるアンケートによると、「なぜ終活をしようと思ったのか」の設問に、およそ9割が「家族に迷惑をかけたくない」と回答したとの結果が出ています。

終活をしている人は少ない

 楽天インサイト株式会社が、2024年1月にインターネットで「終活に関する調査」(20~69歳の男女1,000人を対象)を行っています。
 「終活」の実施状況を聞いたところ、「意向あり」計(「実施している」(6.3%)、「近いうちに始める予定」(6.2%)、「予定はないが、時期が来たら始めたい」(57.3%)の合計)は69.8%でした。
「終活」をする・したい理由について聞いたところ、「家族に迷惑をかけたくないから」(60.2%)が最も多く、次いで「病気や怪我、老化などで寝たきりになった場合に備えるため」(26.9%)、「自分の人生の棚卸し、整理をしたいから」(22.5%)との理由でした。
 「終活」に対する考え方について聞いたところ、「終活は家族に迷惑をかけないために必要なことである」という項目に「そう思う」計(「とてもそう思う」(34.3%)と「ややそう思う」(37.2%)の合計)と答えた人が71.5%と最も多かった。次いで「終活は手間がかかり、面倒に感じる」(52.5%)、「終活をすることで将来の不安が解消されると思う」(43.1%)という項目に「そう思う」と答えた人が多くなっています。
 以上のように、最近では終活を行うことの重要性に気づき、取り組む人が増えていますが、エンディングノート等の作成など、実際に終活をしている人はどれくらいいるでしょうか。遺言書を作成する人は、亡くなった方の1割程度ですので、終活を行う人もその程度と思われます。

終活をしない理由

 終活をしない理由は、さまざまな個人的な事情や考え方が影響していることが多いですが、一般的な理由をいくつか挙げます。
1 終活に抵抗がある。
 終活は自分の死後のことを準備する活動であるため、それを考えること自体に抵抗感を感じる人が多いです。特に、元気なうちは「終わりを準備する」こと自体が縁起が悪いと感じる人も多いでしょう。
2 まだ早いと感じる
 終活は高齢者が行うものという認識が強く、比較的若い年代の人は「まだ自分には早い」と感じて終活を後回しにすることが多いです。また、健康なうちは「その時が来たら考えればよい」と楽観的に考える人もいます​。
3 家族に任せたい
 信頼できる家族がいる場合には、自分の死後のことは家族が適切に対応してくれると思っている方も多いでしょう。そのため、終活をする必要はないと考えています。
4 手間がかかり面倒
 終活には、財産の整理や遺言書の作成、葬儀や墓のこと、多くの手間や手続きが伴います。これらのことが面倒で、後回しになってしまうこともありるでしょう。何から始めていいかわからないといった方もいるでしょう。 
 これらの理由は人それぞれ異なりますが、多くの場合、終活に対する心理的な抵抗や準備の煩雑さが大きな要因となっています。

 終活を始めるタイミング

 終活を始めるタイミングは定年退職後の60代に入ってからが一般的です。また、身近な人が亡くなったときや健康面などで不安を抱えたときに始める方も多いです。余命告知を受けて必要に迫られて行う方もいます。
 終活自体はいつ始めてもおかしくなく、タイミングは人それぞれです。「終活」ということを意識しはじめた時が、始めるタイミングかもしれません。
 ただひとつ言えるのは、終活は、身体が十分に動けるうちから始めべきです。身の回りの整理や断捨離など、想像以上の気力体力が必要になるためです。終活をゆとりを持って行うためにも、気力体力がある比較的若いうちから始めた方がいいでしょう。
 終活は、遺された家族のために行うだけではなく、限られた人生を自分らしく生きる、自立できなくなった後も自分はどうしたいかという意思を持ち、その意思を実現する方法を元気なうちから考えておくことです。どう生き、どう逝きたいかということです。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ