マイナンバーカードと成年後見人

 平成27年10月5日の「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)の施行により、住民票に記載されたすべての住民に対して1人1つのマイナンバー(個人番号)と呼ばれる12桁の識別番号が付与されました。
 希望の方は、申請を行うことで、マイナンバーカード(個人番号カード)の交付をうけることができます。
 マイナンバーカードの機能は以下の3つ
 ①顔写真付き身分証明書として利用できる。
 ②オンラインで行政手続ができるようになります。
 ③コンビニで住民票等の各種証明書を搭載できる。
 
 政府は来年秋に現行の健康保険証を原則廃止してマイナンバーカードと一本化する方針ですが、マイナンバーカードに関するトラブルが相次ぎ、野党だけでなく与党内からも保険証廃止に批判が出ています。
 これまで、マイナポイントを餌にして、拙速にカードの普及を図ってきたつけが回ってきたと言えるでしょう。そのような中、一体化後にマイナ保険証を持たない人に発行する「資格確認書」の有効期限を1年としていたのを、制限しない方向で調整に入ったとのことです。

 我々が成年後見人(保佐人、補助人を含む)に就任した場合、被後見人等には、①マイナンバー通知カードを紛失している、②マイナンバー通知カードはあるがマイナンバーカードの申請はしていない、③すでにマイナンバーカードを持っている、の3つのパターンがあります。
 ③のすでに持っている方の場合は、本人が管理が可能であれば、本人に管理していただくことになります。本人管理が難しければ、後見人が管理することになります。
 ①の通知カードを紛失した場合、通知カードの再発行はできませんので、マイナンバー記載の住民票を取得しマイナンバーを確認する、又はマイナンバーカードを申請することになります。
 ②の場合は、成年後見人としては、マイナンバーカード取得するメリット、デメリットを本人に悦明し、本人に申請意思があれば、本人が直接申請する、又は成年後見人が代理人として申請することになります。保佐人、補助人については、「個人番号に関する手続き」についての代理権が付与されていることが必要)

 しかし、マイナンバーカードの申請は、手続きが煩雑です。申請には顔写真が必須ですが、顔写真の撮影をするなんて、気が引ける方も多いのではないかと思います。
 また、本人が施設に入所している場合、健康保険証や介護保険証のを施設に預けている場合が多いですが、一体化後はマイナンバーカードも施設預けることになるかと思います。暗証番号も含め管理上問題がないのか不安があるところです。
 資格確認証でこれまでどおり医療が受けれるのであれば、寝たきりや認知症の方にとっては、マイナンバーカードを取得するメリットはないように思います。
 マイナンバーカードはそもそも任意の制度です。国民にはデジタル化社会に巻き込まれず、平穏に生活する権利もあります。マイナンバーカードを持ってなくても不利益がないようにしてもらいたいものです。

 行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ