そもそも「身元保証人」とは何を求められているのか
病院への入院や施設への入所にあたっては、多くの場合身元保証人(又は身元引受人)求めらます。
家族が当然のようにそれを行うことが求められてきました。ところが、現在の日本では、少子化により家族の規模が次第に小さくなり、単身世帯が増加したり、頼りになる家族が遠方だったり、高齢だったりすることで支援できる身近な親族がいない人が確実に増加しています。
家族や親族がいない場合やいても協力が得られない場合など、成年後見人等にに身元保証人になるよう求められることがあります。
施設や病院が身元保証人(又は身元引受人)を求めてくる理由は大きく2つあります。ひとつは、施設費用や入院費用の支払を確保することです。万が一本人に資力がない場合はそれを補うという意味で保証人を要求します。二つ目には、病状が急変した場合の連絡先や本人に対する治療や処遇の方針について相談する人を予め決めておく、さらには、万が一本人が亡くなった場合の遺体や遺品の引き取り先を確保するという意味があります。
成年後見人等は身元保証人になれるのか
介護保険以降、介護サービスの利用は事業者と利用者との契約によって利用されることになっています。医療についても病院との契約で利用します。成年後見人等の場合は、成年後見人等が代理人として病院や施設と契約することができます。あわせて、成年後見人等は施設利用料や入院費用について本人に代わって支払う権限はありますが、それはあくまでも本人の財産の中から支出するもので、後見人が個人として保証すべき義務はありません。
仮に、後見人が本人の債務について保証人となり、その債務を弁済した場合は、後見人は本人に対して求償権(成年後見人等が支払った債務を、成年被後見人に請求できる権利)を取得することになりますが、求償権の行使は本人との利益相反行為となってしまいます。そのため、成年後見人としては、このような利益相反的な事態を招くような行為はそもそも行うべきではないとされています。
保証人になることを求められた場合の対応
したがって、医療機関や施設には、支払いは成年後見人が責任をもって行うが、保証人にはなれないことをよく説明し理解を求めるべきです。最近では、このような理解が施設には浸透し、成年後見人等がいれば保証人は求めないという施設も増えてます。
その他の対応方法には、そもそも身元保証人(又は身元引受人)を必要としない施設を探すという方法もあるでしょう。
また、近年では、身寄りのいない家族やいても支援を受けれない高齢者を対象にした身元保証や死後事務、日常生活支援等を行う終身サポート事業を行う事業者も増えています。利用料が高額であるため、十分な検討が必要です。