車の持ち主が死亡した場合の手続き

 車の持ち主(所有者)が死亡すると、死亡した時点で、車は相続人全員の共有財産となるため、新たな所有者を決める相続手続き(名義変更等)が必要となります。
 例えば、あなたの配偶者が亡くなったと想定します。
 まず、配偶者が使っていた車だとしても、その車の所有者が配偶者だとは限りません。自動車検査証(車検証)で所有者を確認してみてください。車の所有者は自動車検査証の「所有者欄」に記載があります。車をローンで購入した場合、所有者がディーラーやローン会社のままになっている場合があります。
 所有者欄の名義が第三者となっている場合、相続は発生しません。ディーラーやローン会社に所有権を解除してもらってから、相続人への名義変更手続きを行うことになります。
 所有者がディーラーになっている場合は、ディーラーに連絡して、所有権解除や名義変更手続きを依頼すれば、ディーラーが手続きを代行してくれます。
 自動車の所有権解除、名義変更の手続きに必要書類は、下記を参照してください。

1 所有権解除の手続き
  ディーラーやローン会社に連絡して、所有権の解除を依頼します。必要となる書類は下記のとおりです。必要書
 類はディーラーやローン会社によって異なる場合があります。事前に確認してください。
 ➀自動車検査証(写)
 ➁印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)
 ③自動車税納税証明書
 ④完済証明書
 ⑤所有権解除依頼書(インターネットからダウンロードできます)
  ※所有者又は使用者の住所が変わっている場合
   住所のつながりが証明できる住民票(発行されてから3ヶ月以内のもの)。住民票のみで住所のつながりが証明
  できない場合は、住所のつながりが証明できる住民票の除票、戸籍の附票も必要。

 上記の書類をディーラーやローン会社に提出するとディーラーやローン会社から普通自動車の場合であれば委任状、譲渡証、印鑑証明書、軽自動車の
場合であれば申請依頼書、承諾書等が発行されます。それを名義変更や廃車手続きをする際に利用することができます。

2 相続により車の名義を変更する場合
(1)普通自動車の場合
  自動車の名義変更の手続きは、使用の本拠地を管轄する運輸支局にて行います。使用の本拠の位置により管轄が
 異なる場合があります、その場合はナンバーも変わります。その場合は、運輸支局への車両の持ち込みが必要にな
 ります。
  また、被相続人の住所と同一住所の相続人に名義変更するのでなければ、名義変更の前に、管轄の警察署で車庫
 証明の申請が必要です。
 ➀自動車検査証(原本)
 ➁委任状(代理人による申請の場合。実印を押印したもの)
 ③相続人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)
 ④相続人の実印
 ⑤遺産分割協議書
  相続人全員が実印を押印したもの
 ⑥車庫証明書(保管場所が変わる場合、概ね1ヶ月以内のもの)
 ⑦相続関係を証明する書類
  所有者の死亡の事実が確認できる戸籍謄本と相続人全員が確認できる戸籍謄本
 ⑧手数料納付書(運輸支局窓口にあります)
 ⑨自動車税納税申告書(運輸支局の窓口にあります)
 ⑩移転登録申請書(運輸支局の窓口にあります)
  ⑧~⑨の書類は国土交通省のホームページ (自動車検査登録総合ポータルサイト) からダウンロード可能です。

(2)軽自動車の場合
  軽自動車の名義変更の手続きは管轄の自動車検査協会で行います。使用の本拠の位置が変わる場合はナンバーが
 変わる可能性があります。その場合は、手続きをする軽自動車検査協会も異なるため、事前に確認してください。 
 ➀自動車検査証(原本)
 ➁使用者の住所を証明する書類(使用者又は使用者の住所に変更がある場合)
  新しい使用者の住所を証明する住民票の写し又は印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
 ③ナンバープレート(管轄地域が変わる場合)
 ④自動車検査証記入申請書(軽自動車検査協会窓口にあります)
  軽自動車検査協会のホームページからもダウンロード可能です。
 ⑤軽自動車税申告書(軽自動車検査協会窓口にあります)
 ⑥申請依頼書(代理人が申請する場合。軽自動車検査協会にあります)
  軽自動車検査協会のホームページからダウンロード可能です。
 ⑦相続関係を証明する書類
  所有者の死亡の事実が確認できる戸籍謄本と相続人全員が確認できる戸籍謄本
 
3 所有者が亡くなっている自動車を廃車する場合の手続き
 自動車の所有者が死亡し、今後使用する予定がないので廃車にしたい場合の手続き。
(1)普通自動車
  普通自動車の廃車したいときは、永久抹消登録が必要です。永久抹消登録は、相続人のうち1名の申請により可
 能です。この場合、相続による移転登録はしません。先に車の解体処理を行い、「移動報告番号」と「解体報告記録
 がなされた日」を業者から取得しておきます。申請書への記載が必要になります。
  永久抹消登録には以下の書類が必要です。
 ➀永久抹消登録申請書(運輸支局窓口にあります)
 ➁相続人の委任状(代理人が申請する場合、実印を押印したもの)
 ③自動車検査証(原本)
 ④ナンバープレート(前後2枚)
  取り外したものを業者から受け取ります。
 ⑤相続人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)
 ⑥相続人の実印(本人が来られる場合)
 ⑦相続関係を証明する書類
  所有者の死亡の事実が確認できる戸籍謄本と相続人が確認できる戸籍謄本

(2)軽自動車
  軽自動車を廃車するには、車を解体した後で、登録を抹消する手続き(解体返納)を行います。相続人ならば誰
 でも手続きが可能です。
 ➀自動車検査証(車検証)
 ➁自動車検査証返納届出書(及び解体届出書)(軽自動車検査協会窓口にあります)
 ③使用済自動車引取証明書
  軽自動車を引渡した際、引取業者から交付されます。申請書に証明書に記載されているリサイクル券番号(移動
  報告番号)の記入が必要です。
 ④申請依頼書(相続人以外が申請する場合)
 ⑤ナンバープレート前後計2枚
 ⑥相続関係を証明する書類
  所有者の死亡の事実が確認できる戸籍謄本と相続人が確認できる戸籍謄本

 以上、自動車の所有権解除、名義変更、廃車手続きについて、その必要書類w説明しました。行政書士は、自動車の登録や車庫証明の申請手続きを代行しています。お困りごとがあればご相談ください。
 

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