終末期医療に関する尊厳死宣言


 人生の終末期を自宅で過ごしたいと思う人は多いですが、日本では死亡者の86%は病院や施設で亡くなります。皆さんは、終末期にどのような医療、ケアを受けたいとお考えでしょうか。終末期とは「生命維持処置を行わなければ、比較的短期間で死に至るであろう、不治で回復不能の状態」のことです。
 現代の医療は、回復の見込みがなく、生かし続けることが可能です。自力で呼吸できなくなっても人工呼吸器をつけて体内に酸素を送り込み、自分で食事をすることができなくなっても胃に穴をあける胃ろうを装着して栄養を摂取させます。
日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が、全国の20歳から79歳までの男女1,000名を対象に行った「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査2023年」によると、人生の最終段階に希望する医療について、「生命をなるべく長くする治療よりも、痛みや苦痛を取り除く治療をより希望する」人が63.4%と最も多く、「治療に苦痛がともなうとしても、病気に対する治療(生命をなるべく長くする治療)をより希望する」(7.6%)を大きく上回ってます。
また、人生の最終段階に、誰が主体的に治療方針を決めるかをたずねたところ、「自分が主体 的に決めたい」人は79.6%を占めました。
 しかし、終末期では、本人自身に意識がない、意識があっても判断力がない状態の場合は家族にその判断を任せられるのが通常です。家族と話し合って、同意してもらっていたのならいいのですが、そうでない場合は判断のつかないまま、人工呼吸器を装着するなどの延命措置が選択されれる場合があります。ひとたび人工呼吸器を装着したら、はずすことは容易ではありません。
 医療に関する同意権・決定権は本人のみが有します。判断能力のある元気なうちに、尊厳死宣言(リビングウイル)または「終末期医療に関する事前指示書」を作成して自分の意思を明確にしておくことをお勧めします。
 尊厳死宣言を公正証書で作成すれば、本人の意思を公証人に証明してもらうこともできます。

行政書士・社会福祉士竹内倫自のホームページ