生命保険契約照会制度

 亡くなった方の保険を一括で把握できる生命保険契約照会制度の概要と手続き方法について説明します。
 2021年の7月から亡くなった方や認知症を患った方が加入していた保険を一括で調べることができる「生命保険契約照会制度」が始まりました。これにより家族がどこの保険会社と契約をしていたのかという部分がわからなくてもこの制度を取り仕切っている生命保険協会経由で生命保険契約紹介制度に加入している全42社の保険会社に一括で照会をかけることで家族の保険契約のあるなしを約2週間という期間で把握できいるようになりました。
 

(1)生命保険契約照会制度の概要

 契約者が保険関係の書類を人目につかない場所にしまいそのまま死亡して
しまったり、認知症になってしまうと、相続人である家族は必要な書類がどこにあるのか生きてるのが非常に難しくなってしまいます。
 これまででしたら亡くなった方との続柄を証明する書類をそろえて保険会社1社ごとに保険契約があるかないかを確認しなくてはいけませんでしたが、2021年7月から始まった生命保険契約紹介制度を使えば生命保険協会に対して必要書類を提出し、利用料を3000円支払うことにより生命保険協会がこの制度に加入している全42社の保険会社に一括で照会をかけてくれます。

(2)利用出来る人

 この生命保険契約照会制度は保険契約を調べたいと思っている方全員が利用をできるわけではありません。
 この制度が使えるのは、家族が亡くなったから亡くなった家族が加入していた保険契約を調べたいという場合や家族が認知症を患ってしまった、または家族が災害によって死亡してしまったから家族が加入していた保険契約を調べたいという場合にしかこの制度は使えません。家族が誰も亡くなっておらず、誰も認知機能に問題はないけれど自分以外の家族が今加入している生命保険の契約を確認したいという場合にはこの制度は使えません。

(3)手続きを行える人

 この制度の手続きを行える人は、照会目的が家族が死亡した場合と家族に認知判断能力の低下があった場合で異なるのですが、照会目的が家族が死亡した場合にこの制度の手続きを行える人は以下の方です。
➀照会対象者である被相続人の法定相続人
➁照会対象者である被相続人の法定相続人の法定代理人(成年後見人)または任意代理人(弁護士、司法書士、行政書士)
③照会対象者である被相続人の遺言執行者

(4)申し込み方法

 申し込み方法には、Webフォームから申請する方法とWebフォームから書面申請の申請書を取り書面で申請する方法があります。Webフォームから申し込み手続きを行うためには多少パソコンのスキルが必要になりますので、自信のない方は書面で申請する方法をお勧めします。
 書面申請は、一般社団法人生命保険協会のホームページ「生命保険契約照会制度のご案内」(生命保険契約照会制度のご案内 | 生命保険協会)から申し込みます。
 Webフォームに、照会代表者※の氏名ふりがな、生年月日、照会代表者の住所と連絡先などを入力し、送信すると、1週間程度で生命保険協会から申請書類が入った封筒が照会代表者の住所に届きます。
 封筒の中には、「利用の手引き」と照会代表者の「生命保険契約照会依頼申請書兼同意書」と照会代表者以外の方の「生命保険契約照会依頼委任状兼同意書」が1枚ずつ入っておりますので照会代表者は、照会代表者以外の書類のコピーをとり他の相続人に郵送し、記入してもらいます。
 書類一式が揃ったら照会制度事務局あて郵送で提出します。

 照会代表者とは、照会する相続人が複数いる場合、各自がバラバラに手続きをすれば費用も手間もかかるため、生命保険協会としては生命保険契約照会制度を利用する場合には各家庭において代表となる紹介者を1人決めて手続きを行うことになっています。

(5)利用料

3,000円
支払方法はコンビニエンスストア払いのみ。(インターネットで照会手続きをする場合は、クレジットカード支払も可能。)

(6)照会結果の回答

 全ての保険会社からの調査結果が出揃ったら、照会代表者あてに回答書が送付されます。紹介者が複数いる場合は、すべての照会者の回答書をまとめて送付されます。照会対象者(被相続人)を保険契約者又は被保険者とする契約があった場合には、その保険会社の欄に「〇」印が表示されます。照会者が保険金を請求できると判断される場合は、備考欄に「請求可能契約あり」と表示されます。

まとめ

 生命保険金はその保険契約の受取人となっている人が保険会社に対して請求をして初めて支払った保険料に対するお金を受け取ることができます。亡くなった方が生前家族のために高額の生命保険に加入していたけれど、当の家族はそのことを何も知らない。亡くなった方の自宅にも保険契約時の保険証券はないという場合には残された家族は最悪亡くなった方が契約されていた保険の存在自体を知らないまま保険の時効である3年を迎えてしまうことがあります。
そのようなことがないように、亡くなった方に保険契約がありそうな場合はこの照会制度を利用してください。

福井の行政書士竹内倫自事務所